布の準備と印刷

布の準備

印刷する予定の布を、台にしっかりと固定する。

摺箔、友禅、型染において使われている方法の通りに、布の全面を台に糊付ける。布を台から剥がす作業を楽にする為、漆で塗った台や、柿渋紙で被せた台を用るのが望ましい。

私は木の板に、型紙製作用の「洋紙」という化繊紙を貼り付けて使用した。

薄いでんぷん糊を作り、幅広い刷毛で、台に糊を付け、乾かす。糊がぺたぺたとするように、霧吹きで少し湿らせる。布をしっかり張って直角に置き、乾かす。印刷した後、布を優しく剥がす。この作業には、必要であれば薄いヘラを用いる

作業台に糊を付ける。生地を置き、端を紙テープで抑える。

 

印付け

印は、布に型紙を置く時にその位置を調整するのに使う。型紙と模様の寸法から、印刷する時に、布の幅と長さにおいて型紙の位置を計り、台に布の端に沿って鉛筆で印をつける。

布の両側に、印刷する時に型紙の端を沿わせる線の通りに糸を引く。印刷の際、模様を一つおきに印刷し、乾かした後に隣合う模様を印刷する。そのために、まず、印糸も、一本おきに付ける。

印糸を貼り付ける。一本目の糸に型紙を沿わせる。模様を印刷してから、型紙を二本目の糸に沿わせる。

 

印刷の準備

気候 : 膠を用いて印刷する場合、気温が20以下の涼しくて乾燥した環境が求められる為、作業は冬に行われる。

 

温度の低すぎる糊で印刷した模様。暖かい室温で、同じ糊に印刷した模様。

 

湿度の高い環境で印刷した模様。乾燥の進みが遅く、金箔は糊の全面に付かなかった。

 

作業台に、台に固定し印をつけた布、使った後に型紙を置く紙、糊を置くためのヘラ、前もって準備しておいた金箔を置いた紙のトレー、刷毛、竹箸を揃える。金箔には、細くて柔らかい化繊毛の刷毛を使う。

ゼリー状の糊を、玉を無くすように一度モスリンで濾して、小ベラで柔らかくする。

型紙を柿渋紙で作った場合、前もって30分程度水に漬けておき、使う前に布巾で拭く必要がある。このようにすることで、印刷時に型紙が変形することを防ぐ。洋紙製の型紙の場合は、この作業の必要がない。

 

印刷

糊の層が厚く、模様は不完全である。

型紙を布に置き、はがしやすいセロハンテープやおもりで抑える。模様の上側に、糊を多めに使って線を引く。幅広のヘラを使用し糊を広げる。私は型染用のゴムベラを用いるが、木べらでも代替可能である。糊を広げる際には、力を均一に加えなければならない。盛り上がった模様を作り出すためには、糊を厚めに置く。これは、特に発酵した米糊で作った糊を使用することで可能である。しかし、層が厚すぎると、型紙を剥がす際に糊の表面に凸凹ができ、模様が綺麗に出なくなってしまう。

型紙を、先端からゆっくり剥がす。

すぐに、印刷した模様の上に金箔を押す。まず紙に置いておいた箔を竹箸で持ち、箔の向こう側を上げるため、刷毛を静電気で電荷するように頬にさっと通し、毛で箔を上にあげる。箔を置いてから、紙を残したまま、その上から模様の全面を刷毛で、糊をつぶさない様に、縦と横に優しく押す。

 

型紙に余った糊を回収し、布巾でふく。糊がすでに乾いている場合には、型紙を水で洗わなければならない。

 

金箔と道具の準備。糊を置く。模様に金箔を置く。

 

 

次の模様を印刷する。印刷したての模様に隣合う模様を印刷すると、型紙の縁でまだ乾いていない糊を崩す恐れがあるため、模様を一つおきに印刷する。下の段についても同様で、作品の全面を印刷するのに、四回作業を繰り返す必要がある。気候が適していれば、一日二回印刷し、二日間で作品を終わらせることができる。

 

模様を一つおきに印刷してから、隣合う模様を印刷する。

 

金箔の余分除去

24∼48時間乾燥させてから、金箔を覆っている紙を剥がし、糊のついていない金箔の部分を刷毛で回収する。この余分を封筒や紙箱に入れておき、光沢のもっと柔らかい印金などに使用することができる。

紙を剥がす。金箔の余分を回収する。出来上がった作品。

軟化

布を台から剥がす。概して模様が少し硬い為、接着剤のフィルムを割ることにより柔らかくすることができる。

 

以下に二つの方法を紹介する。

–        印刷した布を、表を外面にして、筒 にぎゅっと巻く。その上に、木綿などの生地を何度か巻いて輪ゴムでとめる。気の棒を使用し、巻きを布を巻いた方向に回しながら、表面をそっと叩く。方向を間違えると、生地に折り目ができる恐れがあるので注意する。

–        手で、印刷した布をバイアスの両方向に伸ばす。

作業の映像を見る。

 

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